こんにちは、なき爺です。
今回は、ガンプラに興味を持ち何体か作ったけど、ただ作るだけだと物足りない!ネット・ユーチューブ・雑誌のように、自分なりにカッコいい作品を作りたいと考えている人向けに、どうやってオリジナル作品を作っていくのか?その基本となる概略を分かりやすく解説します。この記事を読んで自分だけのオリジナル作品製作のきっかけにしていただければ幸いです。
1. オリジナルのガンプラを作るための準備プロセスフロー
オリジナルのガンプラを作るということは、元々のパーツを組立説明書の通り製作するのではなく、自分なりに自由に手を加えていくということです。しかしそれらを行う前段階として、やっておかないといけないことがあります。このプロセスは、ガンプラを「カッコよく美しく作る!入門・初級編」とは少し異なります。
ガンプラを「カッコよく綺麗に作る!入門・初級編」でご紹介した「ヒケ処理」までは同じですが、それ以降が異なります。大きな違いは、一度「仮組(かりぐみ)」を行い、その後分解するということです。オリジナル作品をカッコよく作る為には、仮組・分解 そして加工という作業が必須となります。

①ダボ処理
まず最初に必ず行わねばならないのは、ダボ処理です。ガンプラのスナップショット(ダボ穴にダボをはめることで密着させる)は非常に精密に作られており、一度はめると、分解する際にパーツを破損させる可能性があります。その為、ダボを斜めにカットしたり、ダボ穴にニッパーの切れ込みを入れるなど、分解する際にやや簡単に(パーツを破損させずに)分解することができるように前処理をしておきます。この前処理は非常に大事ですので、必ず行ってください。失敗が少ないのはダボ穴にニッパーの切れ込みを入れる(ダボ穴の筒の部分にニッパーを2mm程度入れてパチンと切れ込みを入れる)やり方です。切れ込みを入れることで保持力は低下しますが、パーツが抜け落ちほどではなく問題ありません。
② 仮組(かりぐみ)
仮組とは文字通りダボ処理をした後に一旦組み上げることです。仮組をして確認することがオリジナルアイデアを考えていく上で非常に大事です。仮組みを行って確認することは
- 全体のプロポーションの確認
- 関節の可動域の確認
- 合わせ目消しが必要な箇所の確認
- 塗装の際に色分けの確認
- スジボリ・ディテール追加の確認

仮組をしなくても、確認できることもありますが、仮組をして全体のプロポーション眺めながら、上記を確認する方が失敗が少なくなります。また、時間をかけて加工しても、後であまり目立たなく骨折り損だったと言う失敗もなくなります。
それぞれの内容・概略については後述します。オリジナルのガンプラを作るためには、仮組し、何をやるかを決め、一旦分解して、必要な加工を加えていきます。
a. 全体のプロポーションの確認
仮組状態で、全体のプロポーションをよく観察し、全体的に自分のイメージと合ったものか確認します。ガンプラは完成度の高い造形をしていますが、もう少し足が長い方がいい(短い方がいい)、もう少しマッチョな方がいい(スリムな方がいい)といったちょっとした変更を加えるかどうか考えます。アンテナ等をシャープ化したり、延長したりするテクニックもよく行われています。
b. 関節の可動域の確認
RG/MG/PGなど高位モデルは関節の可動域は広めですが、HGは関節の可動域が十分でないものもあります。仮組の段階で関節の可動域を確認し、可動域が不足しているかどうか、不足していると感じる場合は、可動域の拡大加工を行います。
c. 合わせ目消しが必要な箇所の確認
合わせ目とはパーツとパーツを重ね合わせたライン(合わせ目)のことです。本当のロボットならありえないラインがあると、プラモデルであることが丸わかりで、本物感が薄れてしまいます。これが他のパーツで隠れるような位置であれば、わざわざ消す必要はありませんが、隠す(覆う)ものがなく目立つ場所(武器・プロペラントタンクなど)は、その合わせ目消しを行うかどうかを確認します。合わせ目消しを行わず、あえてディテールのように造形を変える方法もあります。プラ板を貼ったり、段落ちモールド化して、まるで元々あったデザインのように加工する方法もあります。
d. 塗装の際色分けの確認
オリジナル作品を作るということは、見た目が変わるということです。つまり、最も簡単で分かりやすいオリジナル作品製作テクニックは塗装です。成形色を用いずに、違う色で塗装するだけで、100%オリジナル作品になります。塗装は非常に奥が深く、マーカー・筆・缶スプレー・エアブラシといった塗装方法の違いだけでなく、エナメル・ラッカー・アクリルといった塗料の種類による違いもあります。塗装だけでブログ記事が何本も書けてしまうほど奥が深いので、ここでは詳しく触れませんが、仮組して全体を眺めながら、ここは色分けをしたほうがいいといった確認を行います。また、塗装・色分けを行う場合、「塗り分け」しやすいように後ハメ加工を行うのか、マスキングテープ等を使って色分けを行うのかを決めておく必要があります。
e. スジボリ・ディテール追加の確認
ディテールとは、英語の直訳で「詳細」等ですが、ガンプラでは細部(=情報量)のことを指します。元々のパーツでは、どうも寂しい、のっぺりし過ぎていると感じる場合に、どのようなディテール(細部=情報量)を追加するかを考えます。ガンプラはロボット兵器ですから、外装パーツであっても、固定金具・開閉口・ダクト・ライト等、凹凸が少なからずあるはずです。のっぺりとしているより、何かしら細かな凹凸等があった方がより本物っぽく見え、見栄えが良くなります。ただ、常に多ければ良いかというと、多すぎてもうるさ過ぎて、却って見栄えが悪くなるケースもあります。この為仮組で全体を眺めながら、どこにどんなディテールを追加するかを考えます。
スジボリを新たに追加する場合は、鉛筆などでパーツに直接デザインを書き込んでみて、色々バランスなどを見ながら、最終的なデザインを決めます。中級のディテールアップは、市販のプラパーツ等を使う前提としています。多くのメーカーから、いろいろなディテールアップパーツが販売されていますので、それらを活用して、どこに何を付けるかなどを考えます。
③ 分解
こうして、オリジナル作品に仕上げるアイデアが決まったら、次の作業がしやすいように一旦バラします。完全にバラすかどうかは人それぞれです。最終的には塗装となりますので、塗装による色分けがしやすいレベルや、オリジナル加工がしやすいレベルまで分解します。完全に全て分解する必要はありません。
分解の際には、図のようなパーツオープナーを使用しましょう。デザインナイフでも可能ですが、パーツを傷つけてしまう場合がありますのでオープナーがあれば便利です。
また、1箇所の隙間だけを大きくするのではなく、全体的にパーツが並行に隙間が空いて行くように隙間を広げていきます。
塗り分けはマスキングテープ・マスキングジェルなどを用いて塗り分けすることも可能ですが、慣れないうちは失敗する確率も高く、せっかく時間をかけて塗り分けしたのに失敗していたら、心が折れてやる気がなくなってしまいます(私も過去何度も心が折れました…)。出来るだけ失敗しないようにパーツごとに塗り分けする方が失敗が少なく、作業時間も短縮できます。
分解まで終われば、オリジナルガンプラを作るための実際の作業に入ります。
2. オリジナルのガンプラを作るための概略(中級編)
前述の通り、オリジナルのガンプラを作るというのは、元々のパーツを組立説明書の通り製作するのではなく、自分なりに自由に手を加えていくということです。手を加えるテクニックは大きく3つに分類できます。
① リアリティー表現
② ディテール追加加工
③ 造形・可動関連加工
それぞれの表現・加工には、たくさんのテクニックがあります。ガンプラオリジナル加工として一般的なもの、既製品を用いるなど、オリジナル作品を作る上で比較的優しい技術については中級、自分で工夫して作る高度な技術を要するものは上級と分類しています。
① リアリティー表現(中級編)
リアリティー表現(中級編)には、
a. 全塗装
b. 部分塗装
c. 汚し塗装
d. 墨入れ
があります。オリジナル作品を作る=塗装と考えていただいてもよいほど、塗装はガンプラ製作の醍醐味の一つです。(リアリティー表現の詳細は別の記事にて紹介します)
ここでいう全塗装とは、エアブラシを使った基本的な塗装までを含めています。
エアブラシ塗装は、本当に多彩な技巧があり、表現の幅が一気に広がります。絵画の世界でもエアブラシはよく使用されています。私がガンプラは日本発祥のアート文化だと考えている所以でもあります。
② ディテール追加加工(中級編)
ディテール追加加工とは、作品をより本物らしく見せるために、ディテール(細部・詳細)を追加することです。ガンプラ製作の世界では、情報量を増やす加工と呼んでいます。ディテール追加の方法はたくさんの種類がありますが、中級のディテール追加加工は比較的簡単に安価にできるものとして、以下としました。
a. 新規スジボリ
b. 規制パーツ
c. ラピーテープ
d. レジン
規制パーツも非常に多くの専用のものが販売されています。比較的安価なものはプラスチック製ものです。詳しくは別の記事にて紹介します。また、ステンレスシート状のエッチングパーツというのも比較的安価です。一方、金属製のガンプラ専用(と思われる)パーツも多くのメーカーから多彩なものが販売されてます。金属製パーツは質感が良く、塗装とは違った印象を与えてくれます。比較的お値段は高めとなりますので上級としました。プラバンを使って自作のディテールパーツを作成し、取り付けることも上級としました。
③ 造形・可動関連加工(中級編)
造形・可動関連加工とは、そもそものガンプラの形状を変更する加工のことです。プロモデラーの作品では、パテなどを使って腕や足を太くしたり、胸部の形状を変えてみたりしている方がいますが、ここでは、もう少し難易度の低い一般的な加工となります。
a. 合わせ目消し
b. 後ハメ加工
c. シャープ化
d. 可動域拡大
言葉だけでは、イメージしにくいと思いますので、簡単に補足説明をします。詳細は別の記事にて説明します。
まず、「合わせ目消し」とは、スナップフィットでパーツを重ね合わせ合わせた際に現れる「合わせ目」を接着剤を使って消すことです。本物なら、こんな所に筋は入らない…というような箇所の合わせ目を接着剤で溶かして接着させます。
「後ハメ加工」とは、「合わせ目消しをしたい。でも、合わせ目消しをすると塗装が面倒になる」という場合の加工です。ガンプラの関節は、丸い穴が空いた関節パーツをもう一方のパーツの芯に嵌め込んでスナップフィットでカバーすることで関節が動きますが、合わせ目消しを行うと塗り分けする際に関節部分を取り外すことができなくなるので、前もって後からハメ込む(押し込む)ことができるように加工することです。
シャープ化は文字通り尖らせることです。アンテナや腰回りのスカートなどを尖らせます。
最後に可動域拡大加工とは、文字通り関節の可動域を広げる加工です。
3. まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、オリジナル作品をどうやって作り込んでいくかという概略とフローをご説明させていただきました。実は、それぞれの加工内容についても詳しい記事を繋げて執筆していたのですが、文字数があまりにも多くなり過ぎましたので、構成を変えました。まずは概略編とし、それぞれの加工の詳細は別記事にてご紹介させていただきたくこととしました。
オリジナル作品を作るには、仮組という作業が必要になります。一旦組み立てバラすというのは無駄と思うかもしれませんが、パランスの取れた良い作品を作るためには大事なことです。そのためにダボ処理も必須です。この記事では、まずこのことをご理解いただき、次の記事に進んでいただければ幸いです。