定年後は存分に趣味を楽しみたいが、定年後の収支が心配という方の為に、定年後の生活費、年金の仕組み・受給額、趣味に使えるお金を検証しました。
長年仕事漬けで、定年まで一生懸命働いてきた。定年後は思う存分好きなことに時間を使いたいと考えている人は多いと思います。一方、時間は十分にあるけど、一体老後に幾らお金が掛かるのか想像が出来ない。趣味にどれだけお金をかけても大丈夫なのか不安という方は多いのではないでしょうか?そんな方のために、定年後の生活費はいくらくらいかかるのか?生活費以外に必要な費用はどんなものが必要か?年金は幾らくらい貰えるのか?趣味に掛けることが出来るお金はどれくらいかを検証してみました。是非、参考にしてください。
1. 定年後に必要な生活費はいくら?
定年後にいくら生活費が掛かるのかは、その方の生活の仕方、健康状態、持ち家か賃貸か?借金が残っているかどうか、家族構成・住んでいる地域や環境によっても違いますが、インターネットで確認できる情報を調べる限り、どのサイトでも、その情報源は総務省の「家計調査年報」か、公共財団法人生活保険文化センターの「生活保障に関する調査」をもとにしているものがほとんどです。また、非消費支出(直接税・社会保険料)を加味しているケースとそうでないケースで違いはあるものの、概ね近しい金額です。
今回は、いくつか調べた中で、非消費支出を記載しているマニュライフのデータを記載します。これは生活保険文化センターの2022年調査結果を元にしていますが、老後の平均支出額は、単身者で、月間16万円弱、夫婦で月間28万円超となります。
内訳の「教育娯楽」費用が趣味などに使っているお金となります。その他消費支出には、諸雑費・交際費・仕送り金などが含まれます。非消費支出である直接税・社会保険料については後述で詳しく説明します。あくまでも全国平均ではあるものの、趣味に使っている支出はさほど多くないことがわかります。
引用:Manulife生命
また、定年後に必要な生活費は年齢によって差があるようです。家計調査(二人以上の世帯)2023年を用いて調査した結果、グラフのとおり65歳以降徐々に出費が少なくなっていることがわかります。(このグラフには非消費支出が含まれていないように見受けられます)
2. 生活費以外に必要な費用は?
定年後に必要な生活費は説明致しましたが、定年後には生活費以外に必要になると予想される費用(出費)があります。主なものは以下の通りで、それぞれ詳しく説明します。
- 住宅修繕費(リフォーム)
- 入院費
- 介護費
- 冠婚葬祭
住宅修繕費(リフォーム)
戸建て・マンションを購入され、既にローンは完済されているという方でも、老朽化に伴い修繕費が発生します。マンションは修繕積立金をマンション住民全員で積み立てていると思いますが、この積立金は全体の外装等の修繕用であり、自身のキッチンやお風呂場等をリフォームする為のものではありません。よって自身のリフォームの際には大きな出費が発生することになります。住宅リフォーム促進協会の調査によれば、リフォーム費用平均額は286.4万円とのことです。
参考:住宅リフォーム促進協議会「2022年住宅リフォームに関する消費者実態調査結果報告」
入院費
生活費には保健医療費は含まれていますが、入院費用は含まれていません。生活保険文化センターの調査結果によると、入院時の自己負担費用は平均19.8万円。また、入院日数の平均は60代で18.8日、70代で20.5日と高年齢になる程入院日数は長くなる傾向があります。日数が増えれば事故負担額も高くなります。
参考:生活文化センター「2022年(令和4)年度 生活保障に関する調査」
介護費用
老後は病気やケガだけでなく、加齢による身体の衰えから、介護が必要になる場合があります。介護が必要になり、介護施設を利用すると別途、居住費・食費・日常生活費の負担が発生します。この費用は上述の生活費の一部と重複するものもあります。生活保険文化センターの調査結果によると介護費用は、月平均8.3万円、介護に要した一時的な費用の合計は74万円でした。
参考:生活保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
冠婚葬祭
定年後の冠婚葬祭としては孫の出産・節句・入学・結婚などがあります。孫の冠婚葬祭の費用はかなり大きなバラツキがあるようですが、ミキハウスによれば、親からの出産祝いの金額の相場は3万円〜10万円とのことです。Giftmallによれば、小学校入学祝いは1万円〜3万円。中学校入学祝いは1万円〜5万円。高校入学祝いは1万円〜5万円のようです。また、定年後には親しかった友人とのお別れの可能性もあがります。
3. 定年後、働かなかった場合の年金はいくら貰えるの?
皆さんは、老後に受け取る年金がどのように決まっているのかご存知でしょうか?この記事では、年金にはどのようなものがあるのか?どのようにして決定されるのかなどを詳しく説明していきます。
3.1. そもそも年金とは?
年金とは高齢期の生活の基本的部分を支えるため、終身または一定期間にわたって、毎年定期的・継続的に決まった金額が給付される年金制度に基づいて支給されるお金のことです。 年金制度そのものを指す場合もあります。 制度の運営手法によって、国民年金、厚生年金などの公的年金と企業年金、確定拠出年金などの私的年金に分類されます。
参考:年金(三井住友DSアセットマネジメント)
3.2. 厚生年金と国民年金の違い
私的年金については、各人が行うもので、色々なものがありますので、説明は割愛します。公的年金は、国民年金・厚生年金の2種類あり、それぞれによって65歳以上に支給される給付金を、老齢基礎年金と老齢厚生年金と呼びます。会社員や公務員として働き厚生年金や共済組合に加入されたことがある方は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取ることが出来ます。自営業者や専業主婦(主夫)などの国民年金のみに加入してきた方は、老齢基礎年金のみを受給することになります。
参考:国民年金と厚生年金の仕組み
国民年金は、20歳から60歳未満迄の全ての国民が加入しなければならず(最長480ヶ月)、毎月16,520円を負担しています。(専業主婦(主夫)の場合負担はありません)会社員や公務員として厚生年金に加入していた期間がある方は、その加入負担額に応じて、老齢厚生年金を老齢基礎年金とは別に受け取ることができます。
厚生年金は月給の18.3%を厚生年金として負担しています(半分は会社が負担)。賞与も同様です。
3.3. 老齢基礎年金と老齢厚生年金の計算方法
国民年金は、20歳から60歳未満まで加入して支給されます。ちなみに40年間(480ヶ月)加入していた場合、65歳から月額約66,000円を老齢基礎年金として死亡するまで受け取ることができます。専業主婦(主夫)も同様に受け取ることができます。一方、厚生年金は加入期間中にいくら納めたかによって、老齢厚生年金は変わってきます。
引用:日本年金機構
老齢厚生年金は(年額)は、このような計算式で計算できます。平成15年(2003年)4月より年金制度が改定されています。こういった計算式だけでは、あまりイメージが湧かないと思いますので、平均年収毎に老齢年金をざっくり計算したものがありましたので、参考までに紹介します。
引用:auアセットマネジメント
3.4. 老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給額
では、実際に受け取れる受給額はいくらでしょうか?老齢厚生年金は現役時代に納付した厚生年金累計額に応じて変わりますので、もう一つ参考となる資料をご紹介します。
独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査「ユースフル労働統計―労働統計加工指標数(2022年版)」によれば、このようになります。大学・大学院卒の就業年数を36年、高専・短大卒40年、高校卒42年と考えた場合、現役時代の生涯年収平均は、大学・大学院卒 男性約728万円 女性約590万円、高専・短大卒 男性約524万円 女性約431万円、高卒 男性約488万円 女性約356万円となります。
引用:三井住友カード:サラリーマンの生涯年収はいくら?
また、これをもとに、老齢厚生年金を概算で計算すると、表のようになります。このことから、国民年金月間66,000円と合計したものが、年金となります。つまり、大学卒の男性が、受け取る年金は概算で月192,500円であり、専業主婦の夫婦の場合、258,500円となります。つまり1の定年後の全国平均支出額よりも月24,000円程不足することになります。
4. 趣味にかけることが出来るお金を検証
最後までお読み頂きありがとうございました。定年後どのような生活スタイル・水準で生活を送るかによって毎月の支出額は当然変わってきます。一方、定年前になり(年を取るに連れ)物欲が減り、お金を掛けないでも幸せな時間を過ごせるようになってきたと感じる人も多いのではないでしょうか?ともあれ、定年後、収入が年金のみになった後は、年金だけで余裕ある生活を送るの難しそうです。一方、人生100歳時代という言葉を耳にするほど、元気な高齢者が増えていることも事実です。従って、定年後に趣味に没頭しながら幸せな生活を送るには、可能ならお金の掛からない趣味を選び、公的年金以外に私的年金か十分な貯蓄を準備しておくことが肝要かと思います。
私の定年後の趣味はガンプラです。よって定年前の現在は、仕事でガンプラ製作に十分な時間は取れませんが、定年後に向け「積みプラ」(=製作していないプラモデルのストックを積み上げておくこと)を進めています。最近ではガンプラ自体が手に入りにくく、商品価値が高まっておりいます。私の積みプラも私なりの私的年金のようなものですね。
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