皆さん、こんにちは。なき爺です。
皆さんは、ガンプラ製作でゲート跡の処理をしていますか?
「ゲート跡処理はしているけれど、ヤスリ掛けがうまくいかない」
「平らな面を粗い番手から順番にヤスリ掛けしているのに、キズが消えない」
といった悩みはありませんか?
この記事では、これからヤスリ掛けに挑戦したい方や、ヤスリ掛けが上達したいと思っている方に向けて、ヤスリ掛けの原理、必要な道具、そして上手に仕上げるための極意を紹介します。
ヤスリ掛けは、完成した作品のクオリティを高める大切な工程です。丁寧に行うことで見た目が大きく向上し、プラモデルらしさを抑えた仕上がりに近づけることができます。
一方で、ヤスリ掛けは根気のいる作業です。面倒になったり、疲れて作業が雑になったりすると、かえって見た目を損ねてしまうこともあります。
私も最初の頃は、ヤスリ掛けが苦手で何度も失敗しました。どうすればうまくできるのか、どうすれば失敗を防げるのか、試行錯誤を重ねました。こうしたガンプラ歴約20年の経験をもとに、ヤスリ掛けの基礎から上手くヤスリ掛けを行う極意までを紹介します。ぜひ参考にしてください。
1. ヤスリ掛けの原理
ヤスリ掛けとは、ヤスリやサンドペーパー(紙やすり)を使って、パーツ表面の凹凸を均一に整える研磨作業のことです。
ヤスリ掛けに使う道具は後ほど紹介しますが、基本となるのは紙やすりやスポンジヤスリです。改造などでは金属ヤスリやガラスヤスリを使用する場合もありますが、ゲート跡の処理では基本的に紙やすりやスポンジヤスリを使います。
ヤスリには「番手」があり、ガンプラでよく使用する番手は以下の通りです。
| 番手 | 用途 |
| #220, #240 | 大きなゲート跡消し、合わせ目消し後の整形研磨 |
| #400 | ゲート跡・表面処理の初期研磨 |
| #600 | 中間仕上げ、#400のキズ消し、つや消しトップコート前 |
| #800 | 中間仕上げ、#600のキズ消し、塗装前の最終調整 |
| #1000 | 塗装前の仕上げ、光沢仕上げ前の調整、サフ後の研磨 |
| #1200〜#1500 | 光沢塗装前の仕上、サフ後の調整 |
つや消しトップコートで仕上げる場合は、#600程度まででも十分な場合があります。光沢トップコートで仕上げる場合は、#1000程度まで研磨しておくと安心です。
クリアパーツを研磨する場合は、#2000〜#4000程度まで研磨した後、コンパウンドを使用して磨き上げます。ただし、一般的なガンプラ製作では、クリアパーツを本格的に研磨する場面はそれほど多くないでしょう。
番手とキズの関係
ヤスリ掛けは、ヤスリ表面の砥粒によってパーツ表面を削り、凹凸を整える作業です。
番手の数字が小さいほど砥粒は粗く、深いキズが付きます。反対に、数字が大きいほど砥粒は細かく、キズは浅くなります。
たとえば、#400で付いたキズを消すために#800を使うことは可能です。しかし、#400の深いキズを#800だけで消そうとすると時間がかかります。
基本的には、以下のように段階的に番手を上げていくのが効率的です。
(#220 or #240 ➡︎ ) #400 ➡︎ #600 ➡︎ #800 ➡︎ #1000
粗い番手で形を整え、徐々に細かい番手へ進めることで、前の番手で付いたキズを効率よく浅くしていけます。ゲート跡が少し残っている場合は、#240(#220)のヤスリを使って、まずゲート跡を消して平にしてから#400以降に番手を上げながら表面を整えます。しかし#220/#240のヤスリを使ってゲート跡を消そうとする場合は、注意してください。これらの番手は本当によく削れますので、面をしっかりあわせ、目的の箇所に正確に当てて撫でるように少しずつ削ります。
サンドペーパーの種類
サンドペーパーは、紙などの基材に砥粒を接着した研磨材です。砥粒には、主に以下のような種類があります。
| 砥粒 | 特徴・主な用途 |
| ガーネット(ザクロ石) | 木材向け、赤茶色の紙やすりに多い |
| 酸化アルミニウム(アルミナ) | 金属・木材などの幅広い用途に使用される |
| 炭化ケイ素(シリコンカーバード) | プラスチック・ガラス・石材などの研磨に適する |
ガンプラなどのプラスチックを研磨する際には、炭化ケイ素を使用したものがよく使われます。炭化ケイ素は硬く、エッジが鋭いため、比較的軽い力でも削りやすいのが特徴です。
2. ヤスリ掛けに必要な道具 6選
ヤスリ掛けに必要なものは、もちろんヤスリです。ガンプラ向けのヤスリにはさまざまな種類がありますが、最もオーソドックスなのは紙やすりです。
紙やすりは、プラスチック板などの当て木に両面テープで貼り付けて使用します。また、最初からスティック状になっているものやスポンジヤスリも便利です。
私が長年試行錯誤を重ね色々な道具を使った結果たどり着いた道具6選を紹介します。道具は日進月歩で色々なメーカーが良い製品が発売したりしていますが、今のところ、この6選が私にとってのベストであり、十分な量の予備も保管しています。
① ゴッドハンド:神ヤス! 10mm厚
硬めのスポンジで持ちやすく、非常に作業しやすいヤスリです。(厚10mm x 横幅35mm x 縦幅20mm)
3mm程度の薄いタイプもあり、円筒状のパーツや曲面に追従させながら研磨したい場合に適しています。ただし、私はほとんどの作業(小さい平面や曲面の研磨)をこのヤスリで行っています。耐久性も高く、おすすめです。
私はこれをさらに細く切り、5mm程度の幅にしたもの(写真参照)も用意しています。細かい部分や、ピンポイントで削りたい箇所にとても便利です。
ゴッドハンドの神ヤス!は#120、#240、#400、#600、#800、#1000、#2000、#4000、#6000、#8000、#10000とたくさんの種類がありますが、私は#240~#1000を使っています。

② スジボリ堂:マジックヤスリ
通常の紙やすりやスポンジヤスリとは異なる構造の研磨材です。特殊な網目状の合成繊維シートに炭化ケイ素が練り込まれており、専用の台座に取り付けて使用します。
比較的広い面をヤスリ掛けする際に用いています。持ち手・台座もあり、取り回しが楽で、軽い力でしっかり削れます。紙やすりは頻繁に交換しないとすぐに削れなくなりますが、マジックヤスリは耐久性が高く、長く使えるため交換の手間を減らすことができます。マジックテープ式で台座に固定しますので、両面テープは不要で、交換作業も素早く簡単に行えます。水洗いが可能で、メラミンスポンジを使えば削りカスも簡単に除去できます。
商品は、#220、#400、#600、#800、#1000、#1200、#1500があり、台座の色も色分けされていますが、ゴッドハンドの神ヤス!と番手ごとの色分けが異なるので、私は混同しないよう、番手の色をできるだけ神ヤス!に合わせ、番手ラベルを台座に貼っています。私は#220、#400、#600、#800、#1000を使っています。紙やすりに比べ価格はややお高いですが、ヤスリ交換の頻度・手間を考えるともう手放せません。ヤスリ掛けは根気がいる、どちらかというと敬遠したい作業ですので、出来るだけストレスや交換の手間が省けるものを私は選んでいます。

③ メラミンスポンジ
ヤスリ掛けをしていると、ヤスリ表面に削りカスが付着して削れにくくなります。
メラミンスポンジを使うと、ヤスリ表面の削りカスを一瞬で手軽に落とせます。研磨効率を維持するためにも、用意しておくと便利です。
私は削りカスが飛散しにくいように、100均の小さいケースに水を入れ、中にメラミンスポンジ(激落ちくん キューブ3cm x 3cm x 3cm)を水で浸したものを用意しています。ヤスリ面をこの面でさっと撫でるだけで、綺麗にヤスリカスを除去できます。メラミンスポンジは神ヤス!マジックヤスリの両方に使用できます。これもヤスリ掛けの作業効率を上げ、ストレスを省くための必需品です。

④ 極細毛歯ブラシ
ヤスリ掛けをすると、削りカスがパーツ表面にも付着します。通常の歯ブラシでは毛が太すぎる場合があり、化粧筆では柔らかすぎることがあります。
極細毛の歯ブラシは、パーツに付着した削りカスを払うのにちょうどよい硬さと細さです。ダイソーをはじめ、各メーカーからマイクロ歯ブラシやナノ歯ブラシなどの名称で販売されていますが、私はコスパの良いダイソーのものを使用しています。
参考:ダイソー 極細毛歯ブラシ
⑤ 濡れタオル・絞った布
極細毛歯ブラシだけでは、パーツ表面の白っぽさが残ることがあります。その場合は、湿らせた布やハンカチで軽く拭き取るときれいになります。
塗装をする場合や、より完璧な仕上がりを目指す場合は、水洗いや超音波洗浄機の使用も有効です。ただし、素組みで丁寧に仕上げる程度であれば、そこまで必要ない場合も多いでしょう。皆さんがどこまで完成度を求めるかによって判断してください。
⑥ タガネ・ラインスクレーパー
ヤスリ掛けをする面にパネルラインがある場合は、研磨前に、パネルラインを彫り直して溝を深くしておくと安心です。
ヤスリ掛けは表面を削るため、パネルラインの溝も浅くなっていきます。あらかじめ彫り直しておけば、研磨後にラインが薄くなったり消えたりする失敗を防げます。タガネやラインスクレーパーも数多くの種類が販売されており、刃幅もさまざまな種類がありますが、ガンプラのパネルラインであれば、1/144サイズのキットだと0.15mm・0.2mm程度、1/100サイズのキットであれば0.2mm・0.3mm程度のものを準備しておけば十分だと思います。タガネの場合、モールドを彫るなどの用途にも使えますので、必要に応じて必要な太さのものを買い揃えていけばよいでしょう。私は、スジボリ堂のBMCタガネを同社の専用のタガネホルダーに装着したものを使用しています。写真のように、テプラで幅をわかり易く貼り付けています。最近でもBMCタガネは手に入りにくいので、ガンプラツールで最近よく見かけるDESPIAEのリンクを貼っておきます。

3. 失敗しないヤスリ掛けのポイント
私の経験から、失敗しないヤスリ掛けのポイントを紹介します。
① 一方向にヤスリ掛けする
ヤスリ掛けでは、一つの番手につき基本的に一方向へ動かすことを意識します。
円を描くようにさまざまな方向へ研磨すると、キズの向きがバラバラになり、仕上がりの確認が難しくなります。


また、広い平面を研磨する際、押して引いてと往復させると、折り返し地点に力がかかりやすくなります。その結果、パーツの角や端が丸くなる「ダレ」が発生することがあります。
平面を出したい場合は、一定の力(軽い力)で一方向に研磨し、戻すときはパーツからヤスリを離すようにするとよいでしょう。
② 番手を変えるたびに研磨方向を変える
番手を上げる際は、前の番手とは異なる方向にヤスリ掛けします。
たとえば、#400で縦方向に研磨した場合、#600では横方向に研磨します。こうすることで、前の番手で付いた縦方向のキズが残っているかどうかを確認しやすくなります。

#400:縦方向 #600:横方向 #800:縦方向 #1000:横方向
縦横に動かしにくい形状の場合は、右斜め・左斜めのように、研磨方向を変えれば問題ありません。
③ 力を入れすぎない
ヤスリ掛けでは、強い力はほとんど必要ありません。
「なかなか削れない」「ゲート跡が消えない」と感じると、つい力を入れたくなります。
しかし、力を入れすぎると削りすぎやパーツの端が丸まってしまう「ダレ」の原因になります。また、ヤスリの目詰まりや劣化も早まります。
私は普段は、#400・#600・#800を中心に使用し、必要に応じて#1000まで使用します。
#400でもゲート跡が消えにくい場合は、小さく切った#240程度のスポンジヤスリで、ゲート跡の部分だけをやさしく削ります。その後、#400・#600・#800と順にヤスリ掛けを行い、キズを整えます。
繰り返しますが、ヤスリ掛けに強い力は必要ありません。どの番手でも、力ではなく「番手」と「回数」で削ることが大切です。
④ こまめに削りカスを除去する
研磨中は、すぐにヤスリ表面へ削りカスが付着します。削りカスがヤスリの目を埋めると、削れにくくなり、効率も落ちます。
ヤスリ表面をこまめに確認し、メラミンスポンジなどで削りカスを取り除きましょう。
一見すると手間に思えるかもしれません。しかし、削れない状態で無理に研磨を続けると、回数が増え、余計な力が入りやすくなります。
⑤ 削れなくなったら交換する
研磨を続けていると、ヤスリの引っかかりが悪くなり、表面を滑るように感じることがあります。ヤスリは消耗品です。削れにくくなったと感じたら、新しいものに交換しましょう。
もったいないからと無理に使い続けると、作業効率が落ちるだけでなく、余計な力が入って失敗する原因にもなります。
4. ヤスリ掛けを楽にする準備・一歩進んだ極意
① ゲート二度切りを行う
パーツをランナーから切り離す際、ゲート付近が白っぽくなる「白化」が起こることがあります。これは、ニッパーで切断する際の負荷(応力)によって、プラスチック内部に細かなダメージ(非常に微細な割れや隙間)が生じるためです。白化は表面だけでなく内部にまで及んでいる場合があるため、ヤスリ掛けをしてもなかなか除去することができません。よって、ヤスリ掛け以前に、まずは、この白化をできる限り発生させないことが重要になります。そのためには、少しゲート跡を残してニッパーで切断し、残ったゲート跡をヤスリ掛けだけで削っていくことが有効ですが、これだとヤスリ掛けに多くの時間がかかることになります。ヤスリ掛けの作業をできる限り楽に行うためには、まずパーツから離れた位置でゲートを切り、次にパーツの近くで片刃ニッパーを使ってゲートの残りを切断すると白化を抑えることができます。白化を100%起こさせないことは難しいですが、できるだけ白化を抑えることが可能になり、後のヤスリ掛けが楽になります。
② 細いヤスリをあらかじめ用意しておく
ゲート跡や細いパーツなど、ごく狭い範囲だけを研磨したい場面があります。そのようなとき、普段使っているヤスリの角を使うこともできます。しかし、角だけを使い続けると部分的にヤスリが傷み、研磨面が不均一になりやすくなります。
私は神ヤス!の10mm厚タイプを愛用していますが、あらかじめ3〜5mm幅に切ったものを用意しています。細部の研磨には、こうした細いヤスリを使うようにしています。
細いヤスリは、必要になってから作るのではなく、あらかじめ準備しておくことがポイントです。作業中に切り出そう(作ろう)とすると、ヤスリ掛けが中断し、3~5mm幅のものを切るために、パーツや道具をどかし、場所を確保して・・・と面倒な追加作業も増えますので、ついつい「まぁいいか」と集中力も途切れて雑な作業を誘発しかねません。よりストレスなく作業を進めるためにも、あらかじめ準備をしておくことをお勧めします。
③ モールドを事前に彫り直す
ヤスリ掛けをすると、パネルラインやモールドは浅くなります。そのため、研磨前にタガネなどで彫り直しておくと失敗を防ぎやすくなります。
研磨後に浅くなったモールドを彫り直すこともできますが、浅くなったラインを彫り直すのは難しく、失敗しやすい作業です。もともと存在するラインをなぞって彫り直すほうが、圧倒的に楽で失敗しにくいです。
浅くなったモールドを彫り直す場合は、スジ彫りガイドテープを使うと失敗をある程度防げます。ただし、ガイドテープを切り出して貼り付ける手間がかかります。
④ モールドやディテールを一度削り、後から追加する
細かなモールドや段差のある部分を避けながらヤスリ掛けをしようとすると、かえって仕上がりが悪くなることがあります。
そのような場合は、モールドやディテールを一度気にせず平らに削り、その後で追加する方法もあります。
- モールド:スピンブレードなどで追加する
- ディテール:プラ板や市販ディテールパーツを接着する。接着には流し込みタイプの接着剤などを使用する
この方法は、平面をきれいに出したい場合に特に有効です。
5. おわりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
私がガンプラを始めた頃は、ホームセンターで販売されている紙やすりを使っていました。最初はうまくヤスリ掛けができず、いろいろなHow to本などで情報を調べたり、新しいヤスリを試したりしながら、現在のやり方にたどり着きました。
ヤスリ掛けは根気のいる作業です。特に大きいサイズのものや古いキットには、「ヒケ」と呼ばれる、平らであるはずの面が、わずかに凹んでいる箇所が見られることがあります。仕上がりの見栄えをよくするためには、ヒケ処理を含めた表面処理も重要です。場合によっては、何時間もヤスリ掛けに時間を要することもあります。そうなると、どうしても作業が雑になったり、「もうこの程度でいいか」と妥協したくなったりするものです。
しかし、ガンプラをきれいに製作し、上達するための第一歩は、ゲートの二度切り、ヤスリ掛け、パネルラインの彫り直しといった、手間のかかる基本作業にあります。
趣味でガンプラを楽しむのであれば、「今日はこの数のパーツだけヤスリ掛けをする」と決めて、時間に余裕を持ちながら、のんびりガンプラライフを楽しんでいただきたいと思います。
千里の道も一歩から
(『老子』に由来する日本のことわざ・格言)
静かなスロージャズピアノでも聴きながら、少しずつ作業を進める。そんな至福の時間を楽しんでいただければ幸いです。
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