はじめに
こんにちは、なき爺です。
今回は、読書から遠ざかった私が、耳から読書を取り戻したお話を紹介したいと思います。私はどちらかというと、読書好きだったと思いますが、仕事の内容が変わり、活字を見ることに疲れて、読書から遠ざかってしまいました。しかし、Audibleと出会い、その魅力にすっかりハマってしまい、月間100時間以上聴くようになり、読書を取り戻しただけでなく、新しい発見をしたお話を詳しく紹介しようと思います。この記事はAudibleの利用を勧めることを目的としたものではなく、読書の方法の一つとして、私自身の体験を紹介するものです。Audible以外にもいろいろな音声サービスはあると思います。もし、私と同じように本を読みたいけど、本を読むことに疲れた、いつも途中で諦めてしまい最後まで読破できない、といったお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、この記事が参考になれば幸いです。
1. もともと、本を読むことは好きだった
書籍にはいろいろなジャンルがあります。大きく分けるとフィクション・ノンフィクション・実用書になると思いますが、私は、どちらというとノンフィクションものを読むことが多かったように思います。特に好きだったのは、自伝や成功体験、史実を扱った歴史書などでした。一方、フィクションでは心を揺さぶられる物語や、人間ドラマが好きでした。SFもよく読みましたし、映画化された作品を本で読むことも多かったように思います。作家さんで言えば、司馬遼太郎さんや、山崎豊子さん、福井晴敏さん、新保裕一さんが好きでした。また、ビジネス小説も好きで、三枝匡さん、池井戸潤さんも好きでした。実用書は、仕事に必要なものは義務(責務)と感じ学習しましたが、主に趣味(ガンプラ・DIYのマニュアルみたいなもの)のHow to本や解説書が多いです。私は、何かを始める際に、まず、ある程度書籍などで勉強して知識を増やすところから入る傾向があるようです。
以前は海外単身赴任をしていましたので、比較的自由な時間もあり、よく読書をしていました。一時帰国の際にたくさん本を買い込んで帰りました。古本屋で好きなシリーズ作品や興味のあるものを全巻購入して、持ち帰ったりしていました。)
しかし、2024年に帰国し、現在の職務につき、毎日社内申請書を読み込み、チェックし、確認する仕事になり、膨大な量の活字を追わないといけない毎日に変わったことから、自然と仕事以外で「活字」を追うことから遠ざかってしまいました。本を読むこと自体が嫌いになったわけではなく、読みたいと思うものの、どうも活字を見たくないという思いの方が強くなっていたと思います。
2. 仕事で読む文章と、趣味で読む本は違っていた
私は比較的ハードシップの高い国に単身赴任していたこともあり、精神的に疲弊しないように心のバランスを保つために、仕事中と、それ以外の時間、つまり自宅に帰った後や週末とで、できる限り、仕事のことを考えないように、気持ちを切り替えるようにしていました。仕事以外の時間には、意識的に仕事のことを考えず、何か別のことに没頭するようにしていました。読書はその一つであり、多くの本を読み、物語の世界に身を置くことで、現実から少し距離を置くことができました。今では、海外にいてもAmazonやKindleなどを通じて、日本の本を比較的気軽に注文できたりしますが、私がインドに駐在していた2000年代は友人と読んだ文庫本を貸し借りしていました。皆、誰かの家に食事に招かれると、その家の本棚を眺め、お互いに本を勧め合ったりするのも当たり前の光景でした。
本には、その世界に没頭させてくれたり、新しい世界を見せてくれたりする力があります。私にとって読書の時間は、現実の世界から気持ちを切り替えるために適した時間であったと思います。
もちろんドラマや映画といった映像作品も同様に、現実の世界から離れた物語の世界に没頭させてくれるものです。映像作品は、映像や音楽、俳優の演技によって、短い時間でも直感的に物語の世界へ引き込んでくれます。
一方、本には登場人物の内面や背景がより丁寧に描かれており、自分のペースで想像を広げながら読み進める楽しさがあります。もちろん映像コンテンツでも長編ドラマのように、人物の背景や心情を、時間をかけて丁寧に描く映像作品もあります。それでも、本を読むことでしか得られない想像の余地や余韻があるように思います。
2024年に帰国し、現在の職務に就くようになってからは、「文字を読む」という意味合いが少しずつ変わっていったように思います。毎日、仕事で申請書などの文章を深く読み込むようになり、「文字を読む・活字を見る」という行為は、心に映像を思い描くというものから、内容の理解に留まらず、記載漏れや矛盾、数字・条件の精査、表現・論点の整理などを求められるものに性質が変わったように思います。仕事上の申請書ですから当然なのですが、「文字を読む・活字を見る」という行為が、集中力と判断力・責任が求められるものであり、座って書類(画面)を眺めているだけであっても、とても疲れます。そして、通勤途中の電車の中や家に帰っても、本や文章を見ることから遠ざかっていきました。もちろん現在も会社員ですので、日々の政治・経済などの情報は常に最新のものにアップデートしていなければなりませんが、こうした政治・経済ニュースも、新聞からではなく、できる限り経済ニュースなどの番組を視聴するようになり、活字から距離を置くようになりました。
3. 通勤片道70分、Audibleを試してみた
ある時、テレビのCMで女性が部屋でトレーニング(プランク)をしながら、「人はAudibleを始めると、話の続きが気になって、続かないタイプの人も、妙に続くらしい。AmazonのAudio Book Audibleで聴こう」 という宣伝を見ました。私は直観で、「これだ!」と思い、さっそくトライアルを始めました。
参考:Audible CM「筋トレ続く」篇
私は、2024年までの海外駐在中は、紙の本よりも電子書籍を利用するようになっていました。瞬時に購入でき、持ち運びも軽いからです。小説や漫画はiPad mini、雑誌はiPadで読むことが多くなっていました。Kindle Bookも読み上げ機能はついているものの、この機能で小説を聴くというレベルではなかったのですが、Audibleは実際に声優・俳優が朗読してくれているので、とても聞きやすく、直ぐに気に入りました。
私は普段出勤のため、自宅から最寄り駅まで片道20分~25分歩いています。バスもありますが健康のために歩くことにしています。更に電車で約45分。自宅から会社の自分の席まで約1時間10分~15分位かかりますが、この時間が読書タイムになりました。正確にはAudibleで聴く時間に変わりました。また、家で家事をしたり、週末のWalkingの時間、洗車の時間、庭の草むしりや植木の剪定をする時間といった、あまり考えずに、単純に体を動かしている時間がAudible タイムになりました。最初は、自分の好きなジャンルのものを聴いていましたが、次第に、いろいろなジャンルの小説や時にはビジネス書等もAudibleで聴くようになりました。
気が付けば、Audibleで聴くことが習慣になっており、月に100時間以上、2年半位の累計で370作品以上聴いていました。リスニングレベルは最上位のマスターです。
Audibleは月額1,500円で数十万冊以上の書籍が聴き放題です(有料の聴き放題対象外の書籍もあります)。また、再生速度は、0.7倍(遅い)、1.0倍(通常)、1.2倍(やや速い)、1.5倍(速い)、1.7倍(もっと速い)、2.0倍(超速い)と速度を変えられます。( )内は、私のイメージです。私はいつも1.2倍で聞いています。ビジネス書などは1.0倍にしています。1.2倍速で、小説は通常6時間~10時間くらいです。もちろんそれよりも短いものも長いものもありますが、1冊平均8時間と考えても、月に100時間以上聴いているのであれば、10冊以上になりますから、紙の本よりお得感があると思っています。(気に入ったものは何度も聴き返すこともあります)
※料金、聴き放題対象作品数、再生速度などは2026年7月時点の情報です。最新の内容はAudible公式サイトをご確認ください。
4. 「聴く読書」は、文字を追う読書とは違う楽しさがあった
私がAudibleにハマってしまった最大の理由は、恐らく本の世界に入り込むことで、余計なことを考えないことが大きいと思います。現代社会では、多くの人が日常生活の中で、さまざまなストレスを抱えていると思います。単純に体を動かしている時間も、つい仕事のことや人間関係など、いろいろなことを考えてしまうのではないでしょうか?
私自身、毎日の通勤では「駅まで歩くぞ!」と決めても、仕事で疲れていると「今日はバスに乗ろうかな」と考えてしまうことがありました。歩いて帰ったとしても、疲れていること自体がさらなるストレスになったり、歩きながら余計なことを考えて、怒りが湧いてきたりと、心が休まらない時もありました。
私の会社では11月にウォーキングイベントがあり、1ヶ月間の1日平均歩数を競います。その期間は、普段より2駅分ほど多く歩くようにし、だいたい1日15,000歩くらい歩きます。しかし、そうした時も、Audibleを聴きながら歩くと、全然苦になりません。本の世界に没頭しているので、「歩かないといけない」という感覚が薄れるのだと思います。車を洗う時、庭の草むしりや剪定をする時も同じです。Audibleを聴いていると、本の世界に意識が集中しており、以前よりも疲れを感じにくくなりました。
Audibleを始めたころは、読みたかったのに読んでいなかった本や、直木賞・本屋大賞の受賞作や候補作を中心に聴いていました。しかし、聴き続けるうちに、気になっていた作品を一通り聴き終えてしまいました。そこで次第に、タイトルや作品概要、これまで読んだことのない作家などを手掛かりに、「これ面白そう!」と感じた本を選ぶようになりました。小説だけでなく、雑学、自己啓発、思想など、幅広いジャンルにも手を伸ばすようになりました。
Audibleの聴き放題対象タイトルは本当にたくさんあります。そのため、今までは手に取らないようなジャンルや作家にも自然に出会え、読書の世界が広がっていきました。こうして、いろいろな本を聴くうちに、心が軽くなったように感じます。また、ものの考え方、人との接し方、生き方についても、良い方向に整っていったようにも思います。
Audibleを長く聴いていると、好きなナレーターもできてきます。私の場合、中西尚也さんや羽飼まりさんの朗読が好きです。作品(特にエッセイ)などは、著者がナレーターを行う場合もあります。ナレーターの方々は、登場人物によって声色や話し方を巧みに変え、作品の世界を立体的に表現してくれます。その臨場感に引き込まれると、文字を目で追う読書とはまた違った没入感を味わえます。これもまた、「聴く読書」ならではの大きな魅力なのだと思います。
印象に残ったAudibleで聴いた作品
- SF・ファンタジー:『十二国記』シリーズ、『守り人』シリーズ、『レーエンデ国物語』
- ミステリー・サスペンス:『さよならジャバウォック』、『ファラオの密室』、『琥珀の夏』
- 宗教・スピリチュアル:『神様とシンクロする方法』、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教・仏教に関する書籍
- ビジネス・キャリア:『社長の心得』、松下幸之助氏に関する書籍、稲盛和夫氏に関する書籍、『失敗の本質』
- 文学・フィクション:『ザリガニの鳴くところ』、『汝、星のごとく』、『国宝』
- 歴史:『カレー移民の謎』
- 自伝・回顧録:『ロッキード』、『青と赤のガウン』、『Passion 成功への情熱』
- 自己啓発・人間関係:アドラーの心理学に関する書籍、デール・カーネギーの著作
- 資産・金融:『成長の継承のためのPEファンド』、『闇と闇と光』
※分類はAudible上のカテゴリーおよび個人的な印象によるものです。
5. Audibleを利用する際に気を付けるべき点と、理解を深める工夫
Audibleで作品を聴くことによる利点を述べてきましたが、一方で、Audibleを利用する際に気を付けたい点もあります。読書の場合、より深く理解したり、考えたり、前に戻って読み返したり、理解をさらに深めるために(印象に残すために)、自然に活字を追うスピードが変わります。しかしAudibleのように聴く場合、映像作品同様、再生している間、こちらが意識的に停止や巻き戻しをしない限り、先へ進んでいきます。そのため、少し注意がそれた瞬間に、内容を聴き逃してしまうことがあります。たとえば、Audibleを聴いている時に、ふと注意がそれる場合があります。携帯電話を見たり、誰かにぶつかりそうになったり、意識や注意が行動に引っ張られた場合、Audibleではナレーションが続いているので、耳には音が入っていても、内容は頭に入ってこない場合があります。つまり、歩行中や作業中にAudibleを聴く場合であっても、作品に没頭し過ぎず、周囲の安全確認を最優先にすることが大切です。
小説などの物語の場合、多少聴き逃しても、全体としてのストーリーをつかめていれば、問題がないことも多いですが、実用書やビジネス書の場合、重要な説明や論理のつながりを聞き逃すと、理解が浅くなってしまう可能性があります。そのため私は実用書を聴く場合は、あえてスピードを遅らせて聴いたり、何度も繰り返して同じ章を聴いたり、聴き方を工夫しています。さらには、Kindle版を購入し、目で文字を追いながら、音声を聴くこともあります。
実は、この方法を試すようになってから改めて気が付いたのですが、私の場合、文字を読むだけの場合より、文字を目で追いながら聴く方がより頭に入りやすいことが分かりました。学生時代、暗記をする時に、繰り返し文字で書くと同時に、声を出して耳で聴いて覚えるという事をしていましたが、同じような効果があるのかもしれません。
こうした音声の活用は仕事でも役立っています。Microsoft WordやOutlookには 「音声読み上げ」 という機能が付いています。近年このMicrosoft Officeの「音声読み上げ」機能が、かなり自然になり、私は余りストレスを感じずに聴けるようになりました。このため、特に短時間で仕事上の書類を確認しないといけない場合や、自分で作成した文章を見直す場合、目で文字を追いながら、「音声読み上げ」機能を使っています。目で読んでいるだけでは気付きにくい誤字や不自然な表現も、音声で聴くことで見つけられる場合があります。もちろん周囲に人がいない場所で使う、イヤホンを使用するなど、周囲の環境には配慮が必要です。
PDFファイルにも、読み上げ機能はありますが、私にとっては十分とは言えません。どうしてもという場合は、一度PDFの文章をWordにコピーしてから、Wordの「音声読み上げ」機能を使うようにしています。
6. 音声で聴くことに向いているもの、向かないもの
Audibleを聴き続け、さまざまなジャンルの作品に触れる中で、音声で聴くことに向いているものと、文字で読むほうが理解しやすいものがあると感じるようになりました。
もちろん、感じ方や理解しやすい方法には個人差があります。しかし私自身は、内容を順番に味わえる作品は音声と相性がよく、正確な情報を確認したり、図表を参照したりする必要があるものは、文字で読むほうが向いていると感じています。
文字で読むほうが向いているもの
| 内容 | 理由 |
| 申請書・契約書・規程類 | 正確な文言、条件、数字を確認しながら、前後の文章を読み返す必要があるため |
| 表・グラフ・図表が多い本 | 視覚的に比較したり、全体像を把握したりする必要があるため |
| 数式や技術書 | 記号、数式、図、参照箇所などを確認しながら理解する必要があるため |
| 調べものをするための本 | 必要な箇所に戻る、検索する、複数の情報を比較する作業が多いため |
| 情報量の多い実用書・専門書 | 用語や論理のつながりを確認しながら、時間をかけて理解する必要があるため |
音声で聴くことが向いているもの
| 内容 | 理由 |
| 小説・ミステリー・歴史小説 | 物語を順番に追いながら楽しめるため。ナレーションによって登場人物や場面が印象に残りやすい |
| エッセイ・自伝・回顧録 | 語り手の声や感情、文章のリズムを味わいやすいため |
| 自己啓発書・考え方に関する本 | 通勤や家事の合間にも、自分の生活と重ねながら気軽に聴きやすいため |
| 自分で作成した文章の推敲 | 文章の流れ、言葉の重複、不自然な表現などに気付きやすいため |
私にとって音声は、物語を楽しんだり、文章全体の流れをつかんだりする際に特に力を発揮する手段です。一方で、正確さが求められる文書や、図表・数式を確認する必要がある内容では、文字で読むほうが適しています。大切なのは、音声と文字のどちらが優れているかを決めることではなく、目的や内容に応じて使い分けることだと思います。
おわりに (取り戻した読書の楽しみ)
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
以前の私は、読書は目で文字を追うからこそ理解が深まるものだと思っていました。耳で聴いても頭に残らないのではないかと感じていました。しかし、仕事環境が変わり、活字を追い続けることに疲れた時にAudibleに出会い、新しい読書の形を手に入れることができました。Audibleで手軽に聴く読書を始め、聴き放題サービスを利用したことで、今まで興味がわかなかったジャンルや作家の作品に触れることが出来、私自身の世界が広がったと思います。特に多くの文章に触れることで、文章や言葉への感覚も少しずつ磨かれたように感じます。同時に、ものの考え方、人との接し方、生き方が変わり、心が豊かに整い、仕事や人間関係などのストレスとうまく距離を置き、健やかな生活を送れるようになったと思います。
いろいろな書籍の中には、残酷な犯罪ものや心の闇を映し出すような作品もありますが、私はそのような作品はあまり得意ではなく、出来るだけ自分にプラスになるようなものを心がけて読む(聴く)ようにしています。
中でも、これまでにも触れましたが、『神様とシンクロする方法』(斎藤一人著)、『社長の心得』(小宮一慶著)、『Passion 成功への情熱』(稲盛和夫著)といった作品は今の私に大きな影響を与えたものと言えると思います。
昨今、読書離れが囁かれる世の中で、電車の中でも、携帯電話でゲームをしたり、動画を見たりしている光景をよく目にします。確かにストレス解消にはなると思います。しかし、そうした時間を使って、「読む」「聴く」いずれの方法であっても、本に触れてみてはいかがでしょうか?きっと多くのことを学ぶことがきでき、人生を豊かにしてくれると思います。本記事が皆様の読書への関心を高めるきっかけになれば幸いです。

